火曜定休前日、藤沢のほうとう店のランチに密着してみた
10月の終わり、朝晩の空氣がひんやりと締まってくると、からだが温かいものを求め始める。
藤沢市亀井野の国道沿いに建つ古民家づくりの店「元祖へっころ谷」では、この季節になると手打ちほうとうの注文がぐんと増えるのだそうだ。
今回密着したのは月曜日——翌火曜日が定休という、週に一度の「前夜」にあたる日だ。翌日休みだからのんびり、ではなく、むしろその逆。週の疲れが出始める月曜の夜にこそ、気の置けない仲間と囲む鍋の温もりを求めて足を運ぶお客さんが後を絶たない。そんな一日を、二代目店主・古屋ケンゴさんの動きとともに追いかけた。
こんな方におすすめ
- ✅ 添加物を氣にせず、仲間とわいわい食べられる藤沢のお店を探している方
- ✅ 子連れでも、大人でも、同じテーブルで心ゆくまで過ごせる空間に惹かれる方
- ✅ へっころ谷の「一日」の空氣感を事前にのぞいておきたい方
- ✅ 古民家カフェのような雰囲氣の飲食店に興味がある方
- ✅ 無添加・自然栽培にこだわった食事でランチや夜ごはんを楽しみたい方

朝8時台、麺打ちから一日が始まる
ケンゴさんの朝は早い。開店の11時より2時間以上前、粉と向き合う時間から一日がスタートする。
使う小麦は埼玉県産「農林61号」と岩手県産「南部小麦」のブレンド。伝統在来の品種を組み合わせることで生まれるもちもちした食感と、噛むほどに広がるほのかな旨みが、へっころ谷の麺の核になっている。打ち台に向かうケンゴさんの手の動きは無駄がなく、それでいてどこか楽しそうだ。
「山梨中のほうとうを食べ歩いて、出汁の配合も何度も変えてきた。今の麺と出汁にたどり着くまで、先代からだいぶ変わりましたよ」と笑う。
出汁は長崎・熊本の煮干し、枕崎産鰹節、北海道産昆布、九州産しいたけを合わせ、化学調味料は一切使わない。この天然素材の出汁が、野菜の旨みを吸いながら育つほうとうの汁の土台になる。
お水はすべて素粒水を使用。製麺から仕込み、お客さんに出すグラスの水まで、店のあらゆる水がこれに統一されている。
「月曜の夜、仲間と囲みたい」と思ったとき、どのメニューを頼めばいいか・どの席が向いているかは、1記事ではなかなか書ききれません。LINEでは来店前の相談や、最新の発幸ワークショップ・新メニュー情報を受け取ることができます。友だち追加だけで、すぐに使えます。
10時台、自家菜園と仕込みの時間
麺打ちが落ち着くと、次は野菜の確認と発幸調味料の仕込みだ。
店の自家菜園で採れた野菜、地元藤沢「わいわい市」から届く顔の見える農家さんの農産物、千葉・香取農場や北海道紋別・こだわり農園の野菜が並ぶ。極力農薬不使用の生産者さんのものを選ぶ、というのがケンゴさんの基本姿勢だ。
冷蔵庫の奥では、塩麹・醤油麹・ひしお・玉ねぎ麹・とまと麹などが静かに発酵を続けている。これらはすべて店内で自家培養したもので、仕込んでから使えるようになるまでの時間もまるごと調理の一部と考えている。
「発酵って、急がせることができないんですよね。菌が動くペースに合わせるしかない。それが逆に氣持ちいいんです」
26歳のときに自然農と発酵の世界に出会ってから、ケンゴさんの時間感覚は少しずつ変わったという。数値で管理できないものと向き合う日々の中で、食べる人の「体感」を大切にする姿勢が育まれてきた。
店のお味噌は基本的に山梨から取り寄せる天然醸造味噌を使用しながら、黒千石味噌や白味噌は自家培養している。青森・木村農園のEM農法で育てられた無農薬玄米を使ったもっちもちの幸素玄米も、この時間帯に炊き上げる。FTWセラミックプレートと神宝塩と素粒水で炊くから炊き立てで食べられる、というのがへっころ谷ならではの一杯だ。
✓ ここまでのポイント
- 麺打ちは毎朝開店2時間以上前からスタート。伝統在来小麦のブレンドと天然素材の出汁が、添加物なしの一杯を支えている
- 発幸調味料は店内で自家培養。菌のペースに合わせる「急がない仕込み」が、へっころ谷の食の土台になっている
- 野菜・水・米、すべての素材に「誰が作ったか」が見える仕入れを徹底している
「古民家カフェのような雰囲氣で居心地が良い」という声を読んで、実際に仲間と座ってみたくなった方も多いはず。ネット予約なら希望のお座敷やテラス席を指定でき、土日の混雑でも待たずに案内してもらえます。氏名・人数・希望日時の入力だけで完了します。
ランチタイム、「みんなで囲む」が生まれる瞬間
11時の開店と同時に、まずファミリー連れやランチ目当ての常連さんが入ってくる。お座敷には子ども用の椅子と絵本が置いてあり、ベビーカーも入れる。乳幼児のご飯持ち込みも自由で、店には電子レンジを置かないぶん、お湯で温めるタイプのものを用意してくださいとだけお願いしている。
「うちに電子レンジがないのは、栄養価を守りたいから。いい素材を揃えても、電子レンジにかければビタミンやミネラルが失われる。だから置かないと決めています」とケンゴさんはさらりと話す。
月曜日のランチタイムに特徴的なのは、女性グループの来店が多いことだ。週の頭に集まってゆっくり話したい、というニーズが月曜のランチに集中する氣がする、とスタッフが教えてくれた。テーブルに広がる発幸料理を取り分けながら、声を上げて笑う場面があちこちで生まれている。
卓上には自家製山椒七味唐辛子、オリジナル燻製塩、神宝塩アマテラス、神宝塩ブラックが並んでいて、味変しながら楽しめる。メニュー帳の隣に「メニューの生い立ち日記」が置いてあるのもへっころ谷らしくて、待ち時間もなんとなく読みながら過ごせる。
手作りゆえに料理の提供まで少し時間がかかることもあるけれど、むしろその「待つ間」に会話が生まれているように見えた。
「駐車場も完備していて、古民家カフェのような雰囲氣で、とても居心地が良い」
来店されたお客様の声
この声はひとりのものではなく、子連れファミリーの実際の来店でも繰り返し聞かれる言葉だ。古民家の梁や木の温もりが、仲間同士が肩の力を抜ける空氣をつくっている。かしこまらなくていい場所、というのが、リピーターが口をそろえる理由のひとつだと感じる。
14時過ぎ、ランチが落ち着いてから翌週の仕込みへ
14時30分のラストオーダーを過ぎると、場が静かになる。スタッフで片付けをしながら、ケンゴさんは翌日(火曜)の定休を見越した仕込みの確認に入る。
火曜定休は単なる「休み」ではなく、発幸調味料の培養を進めたり、自家菜園の様子を確認したり、食材の仕入れ先と連絡を取り合ったりする時間でもある。毎月第3水曜日には「整え日」として店内外のメンテナンスやメニューのブラッシュアップも行うが、火曜の1日はそれとはまた別の、静かな充電の日だ。
「休みの日もずっと菌のことを考えてますよ(笑)。冷蔵庫の中でゆっくり動いてる子たちがいるんで」
この感覚が腑に落ちると、へっころ谷のメニューが一日二日でできあがるものではないことが分かってくる。藤沢の「身体に優しいランチ」がこだわっているたった一つのことという視点で言えば、それはまさに「時間を惜しまないこと」に尽きる。
夜の営業、「仲間と囲む」が本番になる時間
17時から夜の営業が始まる。月曜の夜は、翌日が定休で「また来週まで来られない」と知っているからか、少し名残惜しそうな顔で来店するお客さんが多い氣がする、とケンゴさんは言う。
夜ならではの楽しみは、全国各地の蔵元から取り寄せたどぶろくや日本酒と、一品料理のラインナップだ。高座豚の味噌漬け焼きは先代からのメニューを復刻させたもので、オリジナルの旨玉ねぎ麹を添えている。手練りの麻炭こんにゃくはぷるぷるの食感で、取り分けてシェアするのにちょうどいいサイズ感だ。
グループで来た仲間が、一品料理を真ん中に並べながら「これ食べてみて」「このどぶろく甘くて飲みやすい」と声を掛け合っている光景は、まさに「みんなで囲む・分け合う・飲む・笑う」食事の体現だ。
ビーガン対応のメニューにはメニュー帳に☮や☯の印があるので、食のスタイルが異なる仲間が集まっても自分に合ったものを選びやすい。
藤沢で腸活ランチを考えるなら何を選ぶかという視点でへっころ谷を訪れる方も多いが、夜の発幸料理と発幸ドリンクの組み合わせは、それ以上に「からだも心も満たされる」時間になるはずだ。
21時の閉店間際まで笑い声が絶えなかった月曜の夜、外に出ると亀井野の夜空が澄んでいた。翌朝また麺を打つために、ケンゴさんは静かに店じまいをはじめる。
まとめ:定休前日だからこそ見えた、へっころ谷の日常
密着して改めて感じたのは、へっころ谷の一日は「仕込みが料理で、料理が仕込み」というループで動いているということだった。麺を打ち、菌を育て、野菜を選ぶ。その積み重ねが、仲間と囲んだときに「なんか、ここのご飯って安心するよね」という体感につながっていく。
気の置けない仲間と、無添加・自然素材のものを囲んでゆっくり過ごしたい——そんな一日の場所として、藤沢市亀井野の古民家は今日も扉を開けている。
土日は予約なしでは入れないほど混雑することがあるため、仲間との来店は事前予約がおすすめ。電話での問合せは 0466-82-1702 まで。
一日密着で見えてきたのは、手打ちから発幸仕込みまで時間をかけて整えられた「安心できる一杯」が、仲間との時間をより豊かにするということでした。その場に実際に座るための予約は、ネットから数分で取れます。


