実は発酵料理店の厨房で、毎日繰り返されていること
発酵調味料を「体験したことがある」と答えた人のうち、「それぞれの違いをきちんと説明できる」と答えた人はわずか1割程度だという調査結果があります。味噌も納豆も塩麹も「体に良さそう」という認識は広がったのに、なぜかひとつのものしか使いこなせていない——それが今の発酵食品をめぐるリアルな現状だと感じます。
へっころ谷の厨房では毎朝、複数の発酵調味料が同時進行で動いています。塩麹が漬かっていたり、醤油麹が仕込みの仕上げに使われていたり、ひしおが小鉢の隣に静かに添えられていたり。その光景を見ていると「発酵ってひとつじゃないんだ」という感覚が自然と腑に落ちてくるんです。
今回は普段なかなかお伝えできていない厨房の裏側と、そこで毎日繰り返されている発酵の仕事について、できるだけ具体的にお話しします。
こんな方におすすめ
- ✅ 発酵食品に興味はあるけれど味噌・納豆・麹の違いがよく分からない方
- ✅ 体に優しい食事を子どもに食べさせたいと思っている親御さん
- ✅ 発酵調味料を買ってみたものの使いきれずに困っている方
- ✅ 藤沢・湘南エリアで無添加・無農薬にこだわった食事ができる店を探している方
- ✅ 「発酵」を頭で理解するより体感で覚えたいと感じている方

朝一番に厨房で起きていること
開店の数時間前、厨房では出汁を引くことと並行して「発酵物の確認」が始まります。その日に使う塩麹の状態を見て、醤油麹を混ぜて、納豆の発酵具合を確認する。これが一日の最初の仕事です。
へっころ谷の納豆は、無農薬・国産在来大豆を無農薬無肥料栽培の稲わらで自家発酵させています。市販の納豆菌を使っていないので、毎回まったく同じ仕上がりにはなりません。気温・湿度・大豆の状態によって微妙にコンディションが変わる。だからこそ毎朝必ず確認する必要があるし、その日のベストの状態をお客さんに届けるためのタイミングを見極めることがシェフの役割になります。
「発酵って管理が大変そう」とよく言われますが、実際は「管理する」というより「聴く」という感覚に近いと思っています。素材が今日どんな状態にあるかを毎朝確認して、その声に合わせて使い方を調整する。料理における発酵の仕事とはそういうものです。
塩麹と醤油麹の違いを一言で言うなら「輪郭の鮮明さ」だと私は感じています。塩麹は素材の味をふっくら引き出すのに対して、醤油麹は旨みに奥行きと色を加えてくれる。この違いはレシピを読んでも伝わりにくいのですが、実際に両方を使った料理を食べ並べると、不思議なくらいすっきり理解できるんです。
「塩麹も醤油麹も買ってみたけど、結局使い切れない」という氣持ち、この記事を読んで余計にリアルになったかもしれません。LINEでは発幸ワークショップの最新情報や新メニューのお知らせを受け取ることができます。友だち追加だけで、次のイベントのタイミングを逃さずに知れます。
味噌・塩麹・ひしお——それぞれに「居場所」がある
へっころ谷では現在、味噌・塩麹・醤油麹・ひしお・玉ねぎ麹・とまと麹・にんにく麹など複数の発酵調味料を店内で自家培養しています。これだけ種類があると「なぜこんなに必要なの?」と思われるかもしれません。
答えはシンプルで、それぞれに「得意な仕事」が違うからです。
たとえばひしおは、味噌と醤油の中間のような存在で、野菜につけてそのまま食べても美味しいし、肉の下味にも使えます。塩麹は素材を柔らかくする酵素の力が強いので、魚や肉に漬け込むと食感と旨みが別物になる。玉ねぎ麹は甘みと旨みを同時に持っているので、ドレッシングや煮物の隠し味に加えると全体がぐっとまとまる。
へっころ谷でお出しする「高座豚の味噌漬け焼き」には、先代からのレシピを復刻した味噌の漬け込みに加えて、オリジナルの旨玉ねぎ麹を添えています。これは「味噌だけではなく、麹の甘みをプラスすることで豚肉の脂の甘さが際立つ」という体感から生まれた組み合わせです。ふたつの発酵調味料を使うことで、ひとつだけでは出せないバランスが生まれる。
このことを言葉で説明しても「ふうん」で終わることが多いのですが、実際に食べてもらうと「あ、これが違いか」と腑に落ちる方がほとんどです。体感というのは本当に強くて、一度わかってしまうと使い分けが自然にできるようになっていく氣がします。
✓ ここまでのポイント
- へっころ谷の厨房では毎朝、味噌・塩麹・醤油麹・ひしおなど複数の発酵調味料の状態を確認することから一日が始まる
- 発酵調味料はそれぞれ「得意な仕事」が異なり、食べ比べることで違いが体感として理解できる
- 自家発酵させた納豆のように、毎日状態が変わる発酵物は「管理する」より「聴く」感覚で向き合っている
複数の発酵調味料を体感で理解したいなら、実際に来店して食べ比べるのが一番の近道です。来店前に「ビーガン対応はできますか」「子連れで個室は使えますか」など氣になることがあれば、LINEで事前に相談できます。メッセージを送るだけで、シェフかスタッフから返信が届きます。
子連れで来ても安心できる理由は「素材の確認」の積み重ね
お客様からこんなお声をいただくことがあります。
「無添加/無農薬/自然栽培野菜を使っていて、お子様利用にも配慮されている」
来店されたお客様(30〜40代・お子様連れ)
この「配慮」というのは、実は厨房での地道な確認作業の積み重ねでもあります。自家菜園で育てた野菜、藤沢の「わいわい市」で農薬不使用の農家さんから仕入れた野菜、北海道・千葉・青森など全国の信頼できる農園からの食材——それぞれの素性をスタッフが把握しながら仕込みをしています。
発酵調味料も同じです。市販の味噌には食品添加物が入っているものが多いのですが、へっころ谷では山梨から取り寄せる天然醸造味噌を基本に、自家培養の黒千石味噌や白味噌を使っています。「何が入っているか分からないものを子どもに食べさせたくない」という親御さんの氣持ちは、四人の子どもを育てた店主自身がよく分かっているから、素材の確認は妥協しません。
ちなみに店内には電子レンジを置いていません。栄養価への影響を考えてのことです。その代わり乳幼児のお食事の持ち込みは自由にしていただいています。赤ちゃん連れでも安心して来てもらえるよう、お座敷には子ども用椅子・おもちゃ・絵本も用意しています。
発酵食品への興味と子育て中の食の不安が重なっている方にとって、実際に「使っている素材を知っているシェフが作った料理」を食べることは、独学で発酵の本を読むよりずっと具体的で安心感のある体験になると思っています。へっころ谷の厨房の中で実際に何が行われているかを詳しく見た記事も参考にしてみてください。
「使い分けが分からない」を解消する一番の近道
発酵調味料の知識は、本や動画で学ぼうとすると情報が多すぎて混乱しがちです。塩麹の作り方・保存方法・使い道・比率……覚えることが多くて、結局いつもの味噌汁に戻ってしまうというパターンをよく聞きます。
実はへっころ谷では年間約20回のペースで発幸ワークショップを開催しています。発酵調味料を実際に作って、仕組みを理解して、次の来店で「そのまま食べてみる」という流れができるのが理想だと考えています。頭で理解するより、匂いを嗅いで、味わって、ようやく「これがひしおか」と腑に落ちる瞬間がある。
ワークショップに参加するほどじゃなくても、まず食事で複数の発酵調味料が使われた料理を食べてみることが最初の一歩だと思っています。卓上には自家製山椒七味唐辛子・オリジナル燻製塩・神宝塩アマテラス・神宝塩ブラックなど複数の調味料が並んでいて、同じ料理で味変を楽しんでもらえます。「調味料ってこんなに違うんだ」という氣づきが、発酵への入り口になることが多いです。
また卓上には「メニューの生い立ち日記」というものも置いていて、各メニューが誕生した背景や使っている発酵調味料の役割が書いてあります。料理と一緒に読んでいただくと、食べながら発酵の仕組みが自然に入ってくる仕掛けです。知識と体感が同時に動く、そんな場所でありたいと思っています。
まとめ:厨房で毎日繰り返されることが、発酵を「わかる」に変える
朝の発酵物の確認から始まって、素材の仕入れの確認、発酵調味料ごとの使い分け——これがへっころ谷の厨房で毎日繰り返されていることです。特別なことのように聞こえるかもしれないけれど、発酵料理店としては当たり前のことでもあります。
ただそれを「食べる」という体験を通じてお伝えできることが、この店の役割だと思っています。発酵食品に興味はあるけれど使い分けが分からないという方は、まず一度食べに来てもらえると、言葉ではなく舌で「違い」が分かる瞬間が来るはずです。
お席のご予約やメニューに関するご相談は、お電話でも受け付けています。
0466-82-1702(営業時間内にどうぞ)
毎週火曜日・毎月第3水曜日はスタッフの整え日としてお休みをいただいています。ご来店の前に営業日をご確認いただけると助かります。
「食べることで発酵を体感する」という体験は、席が埋まっていると難しくなります。特に土日はご予約なしでは入れないことが多く、子連れならお座敷席の確保も早めにしておく方が安心です。ネット予約なら希望の席種・時間帯を選んで数分で完了します。


