手打ち麺はなぜ美味しいのか。3つの理由を製麺現場から解説

先日、常連のお客様から「手打ち麺って、なんでこんなに美味しいんですか?」と聞かれました。

麺を打ちながら「そういえばちゃんと言語化したことがなかったな」と思って。製麺歴29年の私なりに、その答えをきちんと整理してみようと決めました。

よく「手打ちは職人の感覚が大事」と言われます。それは確かにそうなんですが、感覚だけでは伝わらない。数字や仕組みで説明できる部分もたくさんあって、むしろそこを知ってもらうと、食べたときの体感が変わってくる氣がします。

今回は、藤沢市亀井野のへっころ谷の製麺現場から、手打ち麺が美味しい理由を3つ、具体的にお伝えします。

こんな方におすすめ

  • ✅ 手打ち麺と機械麺の違いが気になっている方
  • ✅ 子どもに安心して食べさせられる、素材にこだわった麺料理を探している方
  • ✅ 添加物や農薬が氣になって、食べる場所を慎重に選んでいる方
  • ✅ 藤沢・湘南エリアで、何度来ても飽きない行きつけのお店を探している方
  • ✅ 「もちもちの手打ち麺」というものを一度ちゃんと食べてみたい方
手打ち麺はなぜ美味しいのか。3つの理由を製麺現場から解説 | 手打ちほうとうと発幸料理の店 元祖へっころ谷

理由① 小麦の配合が「毎日変わる」から

へっころ谷では、埼玉県産の伝統在来小麦「農林61号」と、岩手県産「南部小麦」をブレンドして麺を打っています。

この2種類の小麦を使うのには理由があって、農林61号は風味と甘みが強く、南部小麦はコシと弾力を出すのに向いています。両方の個性を引き出すためにブレンドするわけですが、実はこのブレンド比率が「固定値ではない」というのが、手打ちならではの話です。

小麦粉は季節によって吸水率が変わります。夏は空気中の湿度が高いので水を控えめに、冬は乾燥するので水を多めに。同じレシピで打っても、梅雨と真夏では麺の仕上がりが別物になってしまう。機械製麺だと設定値を変えるのが難しいのですが、手打ちならその日の粉の状態を手で感じながら調整できます。

9月に入って少し空氣が変わりましたよね。この時期は夏から秋へ移行する端境期で、粉の吸水が読みにくい。「今日の粉はどんな顔をしているか」を毎朝確認するところから、製麺が始まります。

機械は均一さが強み。手打ちは「その日の最善」を出せるのが強みです。

「手打ち麺ってなんで美味しいんだろう」と氣になって読み始めた方は、次は「実際に食べてみたい」「季節の限定ほうとうはいつ出るんだろう」というところまで来ているんじゃないかと思います。LINE公式では、季節の新メニューや発幸ワークショップの情報をいちはやくお届けしています。友だち追加は無料で、来店前の質問もそのまま送っていただけます。

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理由② グルテンの「構造」が機械麺とは違う

手打ち麺の「もちもち感」の正体は、グルテンの形成の仕方にあります。

小麦粉に水を加えてこねると、グルテンというたんぱく質のネットワークが形成されます。機械製麺は高速のローラーで圧力をかけて麺を薄くしていくので、グルテンが一方向に引き伸ばされやすい。これに対して手打ちは、折り畳んでは伸ばすという工程を何度も繰り返すため、グルテンが三次元的に絡み合った構造になります。

この構造の違いが、食感に出ます。一方向のグルテンはコシが出にくく、茹でると柔らかくなりやすい。三次元のグルテンは弾力が均一で、茹でても芯までしっかりした食感が残りやすい。

「もちもちの手打ち麺と、たっぷりの野菜の旨み」という声をお客様からよくいただくのですが、このもちもちは偶然ではなくて、生地を折り畳む回数と、こねる方向を意識した積み重ねの結果なんです。

ちなみにへっころ谷のほうとうは山梨の伝統に沿って「無塩」ではなく、神宝塩を加えて打っています。塩を加えることでグルテンが引き締まり、コシと旨みがさらに増す。これは代を継いでから自分なりに研究を重ねて辿り着いた配合です。

神奈川でほうとうを食べるなら、この手打ちにしかない食感の理由についても別の記事で書いていますので、気になる方はあわせて読んでみてください。

✓ ここまでのポイント

  • 手打ちは小麦粉の吸水率を「その日」感じながら調整できる。均一な機械製麺にはないアドバンテージ。
  • 折り畳みを繰り返す手打ちの工程が、三次元のグルテン構造を作り、あのもちもち食感を生む。
  • へっころ谷では神宝塩を加えることでさらにコシと旨みを引き出している。

「また食べたくなる」のは、来るたびに麺も野菜も顔が変わるからだと書きました。土日は予約なしでは入れないことも多く、せっかく来てもらって待たせてしまうのが一番申し訳ない。ネット予約なら希望のお座敷やテラス席も指定できて、子連れでもスムーズにご案内できます。入力は氏名・人数・希望日時だけで数分あれば完了します。

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理由③ 出汁が「麺の素材」に合わせて設計されている

麺の美味しさは、麺単体では語りきれません。出汁との関係性があって、初めて「一杯」になる。

へっころ谷の出汁は、長崎・熊本の煮干し、枕崎産鰹節、北海道産昆布、九州産しいたけという4種類の天然素材を使っています。化学調味料は一切使いません。

4種類を使う理由は「旨みの層を重ねるため」です。煮干しはイノシン酸、昆布はグルタミン酸という旨み成分の種類が違う。この2つが合わさると、旨みの相乗効果が生まれることはよく知られていますが、さらに鰹節としいたけを加えることで、深みと余韻がまた変わってきます。

この出汁を、こしのある手打ち麺に合わせるには「引き算」が必要でした。麺自体に小麦の甘みと旨みがあるので、出汁を主張しすぎると全体がうるさくなってしまう。麺が前に出るときは出汁が寄り添う、出汁が立つときは麺が受け止める。そのバランスを29年かけて調整してきた感覚は、正直まだ言語化しきれていない部分もあります。

数字で言えるのはこのくらいです。製麺から出汁まで毎日店内で手作りしている店は、藤沢市内でもほとんどありません。それだけに、食べ終わった後の「なんか身体が楽な感じ」は添加物がないからこそ体感できるものだと思っています。

藤沢市で発酵食ランチを始めた理由──腸から整える食事を日常にしたくての記事では、調味料へのこだわりをもう少し掘り下げて書いています。

「また来たくなる」の正体は、変化し続ける麺にある

手打ち麺が美味しい理由を3つ挙げましたが、実はもう一つ、数字では表しにくい理由があります。

それは「同じ一杯が二度とない」ということです。

秋の訪れとともに野菜が変わります。自家菜園や藤沢のわいわい市で仕入れる農産物も、季節ごとに顔ぶれが変わる。それに合わせて、季節限定のほうとうも生まれます。9月はまだ夏野菜の名残と秋の走りが混在する面白い時期で、その交差を味わえるのはいまだけです。

常連のお客様が「何年経っても飽きないんですよ」とおっしゃってくださる理由は、たぶんここにある。定番のほうとうは変わらず美味しくて、でも来るたびに季節の顔が少しずつ違う。15年ぶりに来てくださったお客様が「懐かしいのに新しい」と言ってくれたことがあって、それが一番腑に落ちた言葉でした。

「今日は何を食べようか」と迷ったときに、ふと顔が浮かぶ店でありたい。一人でも、家族とでも、ふらっと来られて、「あ、今日は新しいほうとうが出てる」と発見がある。そういう場所を目指して、毎朝麺を打っています。

湘南で子連れ外食するなら安心できるお店はどこがいい?実際に選ばれている理由を口コミから見たという記事も書いています。お子様連れで来られる方に、参考にしていただけると嬉しいです。

「もちもちの手打ち麺と、たっぷりの野菜の旨みが最高でした。こんなお店が近くにあったんだと、もっと早く来ればよかったと思いました」

30代・女性

まとめ:製麺現場から見えた、美味しさの根拠

手打ち麺が美味しい理由を、3つにまとめると次のようになります。

①その日の小麦の状態を「手で感じて」調整できる。②折り畳みの工程がグルテンを三次元構造にし、あのもちもちを生む。③麺の素材に合わせて設計された天然出汁が、全体をひとつの味に仕上げる。

どれも機械製麺では再現しにくい部分です。そして、その積み重ねが「また食べたい」という感覚につながっていく氣がします。

へっころ谷は毎週火曜日が定休で、毎月第3水曜日も「整え日」としてお休みをいただいています。土日は予約なしではご案内が難しくなることも多いので、はじめての方や子連れでお越しの方は、ぜひ事前にご連絡ください。

電話でのご予約・お問い合わせは 0466-82-1702 まで。

毎朝打つ麺と、天然素材だけで引いた出汁の一杯を、ぜひ実際に体感しに来てください。「今日は何を食べようか」と思ったときに顔が浮かぶ行きつけを、藤沢北部の古民家で見つけてもらえたら嬉しいです。ネット予約はいつでも受け付けていますので、気になった今がタイミングです。

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