実は藤沢のレストランが、ビーガン対応にこだわる理由
「たしか前に食べたメニュー、もうないんですね」——そう言いながら少し戸惑った顔でメニュー帳を閉じたお客さんがいました。15年ぶりにへっころ谷を訪ねてくださった方で、以前の味を楽しみにしてくれていたのは十分伝わりました。でも正直に言うと、料理の方向性はずいぶん変わっています。ビーガン対応のマークがメニュー帳に並んでいるのを見て「なんか雰囲気が違う」と感じた方もいるかもしれません。
今回はその「なぜビーガン対応に力を入れているのか」という裏側を、包み隠さず話してみようと思います。代替わりで何が変わって、何が変わっていないのかを先に知っておくと、来店前の氣持ちがずいぶん落ち着くはずです。
こんな方におすすめ
- ✅ 久しぶりにへっころ谷を訪れたら雰囲気が変わっていて戸惑いを感じた方
- ✅ ビーガンや植物性の食事に関心があり、藤沢で食べられる場所を探している方
- ✅ 添加物や動物性食材が氣になる子連れファミリーで、安心して食べられるメニューを知りたい方
- ✅ 発酵食やオーガニックに関心があるけれど、自分に合う店かどうか行く前に確認したい方
- ✅ メニューが変わる前と後、どちらのへっころ谷も知っている常連さん

代替わりのときに、実は一番悩んだのは「誰のための店にするか」だった
36歳で店を継いだとき、最初に突きつけられた問いは「先代の味をそのまま守るか、自分のやりたいことをやるか」ではありませんでした。もっと根本的な「この店に来てくれる人の体に、本当に責任を持てる料理になっているか」という問いでした。
26歳のころから土着微生物を活かした自然農に触れ、発酵の世界にどっぷり入っていった私にとって、食材の出どころや調理の過程はもはや趣味の話ではなく「この一杯がお客さんの体の中でどう働くか」という感覚と直結していました。その延長線上で自然と出てきたのが、植物性の素材だけで完結するビーガン対応のメニューでした。
ただ誤解してほしくないのは「動物性食材を使わないことが正解」という思想から始まったわけではないということです。煮干し・鰹節・昆布・しいたけの出汁は今もへっころ谷の根幹にありますし、高座豚を使ったメニューも大切にしています。ビーガン対応を進めたのは「選べる人を増やしたい」という実用的な理由のほうが大きかったのです。
久しぶりに来てみたら「以前あったメニューがなくなっている」「雰囲気が変わった」と感じて、来店前に確認したいことが出てきた方もいるはずです。LINEでは来店前の質問や相談を受け付けており、最新メニューや発幸ワークショップの情報も受け取れます。友だち追加だけで使えるので、気になることを来店前に片付けておけます。
メニュー帳の☮印と☯印に込めた、地味だけど大事な仕事
へっころ谷のメニュー帳には☮印と☯印がついています。☮はビーガン対応済み、☯はビーガン対応可能を意味します。これを見て「なんか意識高い系の店になった」と思った方もいるかもしれません。でも実際にメニューをビーガン対応にする作業は、かなり地味で手間のかかる仕事です。
動物性のものを単純に抜いても美味しくなければ意味がありません。だから出汁の旨みを昆布と椎茸だけで成立させる調整を繰り返したり、コクを補うために自家培養の玉ねぎ麹やとまと麹を使ったりしてきました。発酵調味料は旨みの層が厚いので、動物性の素材に頼らなくても「なんか深い味」になりやすい。これは体感として腑に落ちた発見でした。
豆乳を使った料理が充実しているのも同じ理由です。豆乳バターや豆乳チーズも店内で仕込んでいます。麻炭豆乳ヨーグルトなど、名前だけ見ると「何それ」と思うかもしれませんが、実際に食べると「これが植物性だけ?」という体感が先に来ます。その体感こそが、久しぶりに来てくれた方に「変わったけど、良い方向に変わった」と感じてもらえる瞬間だと思っています。
ビーガン対応と発酵食の深い関係については、麹料理のレストランが毎日仕込みを続けている理由にも書いていますので、よかったら合わせて読んでみてください。
✓ ここまでのポイント
- ビーガン対応はイデオロギーからではなく「選べる人を増やしたい」という実用的な発想から始まっている
- 自家培養の発酵調味料(玉ねぎ麹・とまと麹・豆乳チーズ等)が、動物性素材なしでも旨みの層を作る役割を担っている
- メニュー帳の☮☯マークは、来店前に確認できる「安心の地図」として機能している
ビーガン対応可能なメニューや、お子さんの食事の持ち込みについて個別に確認したいという方が増えています。LINEでは具体的なメニューの相談のほか、バースデイ発幸パフェの予約も受け付けています。友だち追加のみで、無料でやり取りできます。
変わったこと、変わっていないこと——正直に言います
15年ぶりや20年ぶりに来てくれるお客さんが複数いらっしゃいます。「藤沢で体に優しいご飯を食べるなら『へっころ谷』」と言ってくださる声は、正直ありがたい反面、プレッシャーでもあります。なぜなら先代が作った「へっころ谷像」と、今の店の姿が重なる部分と重ならない部分があるからです。
変わったことを包み隠さず言えば、小麦の配合が変わりました。先代の配合から研究を重ねた末に、埼玉県産「農林61号」と岩手県産「南部小麦」のブレンドに行き着きました。山梨の伝統ほうとうは無塩ですが、へっころ谷では神宝塩を加えてコシと旨みを引き出しています。これも代替わり後に確立したやり方です。かぼちゃも、本来のほうとうは煮崩れて汁に溶け込むのが特徴ですが、当店では「ホクホクのまま」食べてもらえるよう調整しています。地域のみなさんの好みに寄り添った変化です。
一方で変わっていないことも明確にあります。毎日手打ちすること。天然素材だけで出汁をとること。化学調味料を一切使わないこと。そして創業以来48年、この場所に根を張り続けること。この土台は代替わりがあっても揺らいでいません。
子連れファミリーへの配慮も変わらない部分のひとつです。お座敷には子ども用椅子・おもちゃ・絵本があり、乳幼児のご飯の持ち込みも自由です(電子レンジは使っていないのでパウチの温めはできませんが)。子連れでも安心して入れる場所づくりへのこだわりは、ビーガン対応を進めた理由と根っこが同じで「来てくれる人みんなに食べられるものがある」という考え方から来ています。
「藤沢で体に優しいご飯を食べるなら『へっころ谷』」
40代・女性
この言葉を久しぶりに来てくれたお客さんから聞いたとき、先代の頃から続く「体に優しい」という軸は変わっていないと確信しました。その軸の上で、表現の仕方が発酵食とビーガン対応に広がっていったというのが正確なところです。
「ビーガン対応」が、子連れ家族にとって意味すること
ビーガン対応と聞くと「自分には関係ない」と思う方も多いかもしれません。でも藤沢市内で無添加・オーガニックにこだわる子育て中の方々が当店を選ぶ理由の一つに、実はこのビーガン対応の仕組みがじわじわと効いています。
ビーガン対応ができるということは、食材の出どころと加工の過程をすべて把握しているということです。何が入っているか分からない既製品の調味料を使っていたら、そもそもビーガン対応の判断ができません。自家培養の発酵調味料を使い、野菜の産地を顔の見える農家から選んでいるからこそ、「このメニューは動物性なし」と言い切れる。その透明性が、添加物や農薬を心配する子育て中の親御さんにとっての安心にも繋がっているわけです。
藤沢市内で発酵食やオーガニックにこだわる飲食店を探している方には、藤沢で発酵料理のレストランを探す際のポイントも参考になるかもしれません。
卓上には自家製山椒七味唐辛子・オリジナル燻製塩・神宝塩アマテラス・神宝塩ブラックが並んでいて、味変を楽しみながら食べられます。これも「素材の力でここまで変わる」という体感を持って帰ってもらいたいという、発酵食への向き合い方と地続きのサービスです。
まとめ:変化を「戸惑い」ではなく「発見」に変える方法
久しぶりに来てくれた方が「なんか変わったな」と感じる瞬間は、必ずあると思います。それはごまかしようのない事実です。でも変わった理由と、変わっていない軸を先に知っておくと、その変化は戸惑いではなく「あ、こういう方向に進化したのか」という発見になります。
ビーガン対応に力を入れている理由も、48年続く手打ち麺への執着も、発幸料理という言葉に込めた「食べた人が幸せになる」という願いも、全部ひとつながりです。メニュー帳の☮印を見て「自分には関係ない」と飛ばしていた方も、次に来たときはその印の背景を少し思い出してみてください。
ご来店前に確認したいことがあれば、お電話でも受け付けています。
📞 0466-82-1702
(火曜定休・毎月第3水曜は「整え日」でお休みです)
「変わったけど、ちゃんと自分たちに合う店かどうか」を確かめるには、実際に座って食べてみるのが一番早いです。土日は予約なしでは入れないこともあるので、ネット予約でお座敷やテラス席を先に確保しておくと当日の安心感が違います。氏名・人数・希望日時の入力だけで完了します。


