実は藤沢の手作り料理店が、効率よりも手間を選ぶ理由

子どもに食べさせるものを選ぶとき「なぜこの店にしたのか」をちゃんと説明できますか——そんなことを突然考えてしまったことはありませんか。

美味しそうだから。人気があるから。子連れOKって書いてあったから。そういう理由で選ぶことが悪いわけではないですが、でもどこかで「それだけでいいのかな」という感覚が残ることもある。

特に藤沢市の北部、六会や亀井野のあたりはまだ畑や田んぼが残っている静かな地域です。ここで48年続く「元祖へっころ谷」は、国道沿いの古民家という目立つ外観とは裏腹に、お客様にはほとんど見えない場所でものすごく地味な時間をかけています。

今日はその「見えない裏側」を少しだけ話させてください。

こんな方におすすめ

  • ✅ 家族みんなで「これ、本当に美味しいね」と言い合える食事の場を探している方
  • ✅ 添加物や農薬が氣になり、子どもに食べさせるものの素材や作り方を知りたい方
  • ✅ チェーン店にはない、手間ひまのかかった料理の味を体感したい方
  • ✅ 藤沢・湘南エリアで無添加・自然食にこだわった外食先を探している方
  • ✅ 飲食店がなぜ効率を捨てて手作りにこだわるのか、その理由が腑に落ちたい方
実は藤沢の手作り料理店が、効率よりも手間を選ぶ理由 | 手打ちほうとうと発幸料理の店 元祖へっころ谷

麺は「打つ前」から始まっている

へっころ谷のほうとうの麺は、埼玉県産の「農林61号」と岩手県産の「南部小麦」をブレンドして、毎日店内で手打ちしています。

「毎日手打ち」というのは聞いたことがある方も多いと思います。でも、正直に言うとそこはスタート地点に過ぎません。

山梨の伝統的なほうとうは無塩の麺が基本です。でも二代目の古屋ケンゴは、神宝塩を加えることでコシと旨みが格段に変わると30代の頃に体感して以来、今もその配合を使い続けています。塩ひとつとっても「どの塩を使うか」で味が変わる——これは数字で説明できるものではなく、舌と手が覚えたことです。

また、かぼちゃは本来煮込むうちに崩れて汁に溶け込み、自然なとろみと甘みをつくります。これがほうとうの汁の奥行きの正体のひとつです。ただ藤沢のお客様の声に耳を傾けるうちに、ホクホクの状態で楽しみたいという氣持ちも理解できるようになりました。溶け込ませるか、形を残すか。どちらが正解ではなく、「誰のために作るか」を起点に判断しています。

このあたりの素材へのこだわりや、藤沢の和食店がここまで手間をかけている理由については別の記事でも触れていますが、今回は「なぜその手間を選ぶのか」という動機の部分をもう少し深く掘り下げます。

「誰が、何から、どう作ったのか」が見える食事を求めながらも、実際に来店する前に「自分たちに合う店かどうか」が氣になっているのではないでしょうか。LINEでは来店前の質問や相談ができるほか、季節のメニューやワークショップの情報も受け取れます。友だち追加だけで、まずは雰囲氣を確かめてみてください。

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出汁は「引く」ものではなく「対話する」もの

市販のだしパックや粉末だしを使えば、確かに何十倍も早く仕込みが終わります。コストも下がります。味のブレも少なくなる。効率だけを考えたら、正直そちらが正解に見えることもあります。

でも、へっころ谷では長崎・熊本の煮干し、枕崎産の鰹節、北海道産の昆布、九州産の椎茸を使って天然素材だけで出汁をとっています。化学調味料は使っていません。

なぜそこまでするのか。一番シンプルな答えを言うとすれば——子どもの舌は正直だからです。

二代目の古屋が子育てをしていた頃、4人の子どもたちにいつもほうとうの具材をスプーンで潰して食べさせていたそうです。添加物の入ったものを避けたかったというより、自分が作っているものが自分の子どもに食べさせられるものかどうか——その確認が、毎日の仕込みの基準になっていた氣がします。

天然出汁には「今日の気候」「素材の産地の今年の状態」といった揺らぎがあります。毎回同じにはならない。だからこそ毎回「今日の出汁」と対話しながら仕上げる必要がある。その手間を「面倒なこと」ではなく「必要なこと」として受け取れるようになったのが、発酵や自然栽培に出会った26歳前後の時期だったと聞いています。

発酵調味料を自家培養する、という選択

もう一つ、お客様にはほぼ見えていない作業があります。

味噌・塩麹・醤油麹・甘麹・ひしお・玉ねぎ麹・とまと麹・豆乳ヨーグルト・豆乳チーズ・豆乳バター・酵素シロップ——これらを店内で自家培養しています。

「発酵」という言葉はここ数年で一氣に広まりましたが、へっころ谷では二代目が26歳のときに土着微生物と出会って以来、ずっとこのアプローチを続けています。流行より20年近く前から、です。

発幸(発酵)調味料を自分で作る理由は明快です。市販の発酵調味料には、安定させるためや日持ちさせるために添加物が入っているものが多い。でも自分で仕込んだものなら、何が入っているかを完全に把握できます。「誰が、何から、どう作ったのか」が見える食事——これがへっころ谷の料理の根っこにある考え方です。

基本的に使う味噌は山梨から取り寄せた天然醸造味噌ですが、黒千石大豆を使った自家培養の黒千石味噌や白味噌も店内で仕込んでいます。これが「うちのほうとうはなぜこの味なのか」という問いの、簡単には説明しきれない答えのひとつです。

✓ ここまでのポイント

  • 麺打ちは小麦のブレンドから塩の種類まで、数字ではなく体感で選んだ工程の積み重ねです
  • 天然素材だけの出汁にこだわるのは、子どもに食べさせられるかどうかという基準から来ています
  • 発酵調味料を自家培養するのは「何が入っているか」を自分で把握するためで、流行より先に始まった実践です

もちもちの手打ち麺と天然出汁の旨みを実際に体感しようとすると、土日は予約なしでは入れないほど混雑することがあります。子連れでお座敷席をゆったり確保したい場合は、事前予約が安心です。氏名・人数・希望日時の入力だけで数分で完了します。

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「もちもちの手打ち麺と、たっぷりの野菜の旨み」

来店されたお客様より(複数の声より)

このシンプルな言葉が、いちばん腑に落ちる評価だと感じています。「もちもち」は毎日の手打ちと神宝塩が生むもの。「野菜の旨み」は自家菜園や地元・わいわい市の農薬不使用の野菜が、天然出汁と発幸調味料と合わさって初めて出るものです。どちらも、省略したら消えてしまう。

野菜の話をもう少しだけ

へっころ谷で使う野菜は、すべてが無農薬というわけではありません。ただ、できる限り自家菜園の無農薬・無肥料栽培のもの、地元藤沢の「わいわい市」で農薬不使用の生産者さんのものを選んでいます。それ以外にも千葉・香取農場、北海道紋別のこだわり農園、そして幸素玄米に使う青森・木村農園のEM農法玄米などから仕入れています。

なぜそこまで産地を細かく選ぶのか。単純に「良い素材を使いたいから」というのはもちろんありますが、もうひとつは「旬・身土不二」の考え方がベースにあるからです。その土地の、その季節のものを食べることが、その土地に生きる人間の体に一番合っているという感覚。二代目が26歳で自然農に出会ったときに受け取った感覚が、今もメニューの骨格になっています。

この感覚については、発酵ごはんがただの流行りで終わらない理由という記事にも書いていますので、興味のある方はあわせて読んでみてください。

「家族みんなで美味しい」を成立させる条件

子どもからおじいちゃん・おばあちゃんまで、同じ食卓を囲んで「これ、本当に美味しいね」と言い合える時間——これを成立させるのは、実はとても難しいことだと思っています。

子どもには化学調味料や食品添加物を避けたい。年配の方には塩分や刺激を調整したい。大人は本物の素材感と深みが欲しい。こうした複数の「美味しい」の条件を一皿で満たすには、派手な味付けでごまかすことができません。素材そのものの旨みと、出汁と発幸調味料が長時間かけて重なった味だけが、その条件をクリアできる。

人気No.1の豆乳たんたんほうとうは、とろける豆乳に高座豚の旨みと脂が溶け込んだスープに旨辛ラー油を合わせた一杯ですが、その根底にあるのも同じ天然出汁と手打ち麺です。スープの表情は変わっても、基礎の作り方は変わらない。

子連れでの外食先としてへっころ谷を選んでもらえることが多いのも、こうした積み重ねが「安心して食べられる」という信頼につながっているからだと思っています。藤沢で子連れランチをするなら何を基準に選ぶかという視点でも、素材と作り方の透明性はひとつの大切な軸になります。

まとめ:効率よりも手間を選ぶのは、誰のための手間かが分かっているから

「効率より手間」を選び続けているのは、修行的な精神論ではありません。家族みんなが同じテーブルで「美味しい」と言える瞬間を作るためには、省略できない工程があるというだけです。

麺を打つ。出汁を引く。発幸調味料を仕込む。野菜の産地を選ぶ。これらはすべて、テーブルに座った人たちの顔を思い浮かべながらやっている作業です。

48年間、ここ藤沢市亀井野で続いてきたこの店が今も変わらず手間をかけているのは、その手間が「本物の美味しさ」の条件だと腑に落ちているからです。

秋の氣配が深まってくるこの季節、たっぷりの根菜とほうとうの組み合わせは体の芯から温まります。ぜひ一度、見えないところにかけた時間の味を体感しに来てください。

ご予約・お問い合わせはお電話でも受け付けています。
0466-82-1702(火曜・毎月第3水曜定休)

手間ひまをかけた料理の味は、読んで分かるものではなく食べて体感するものです。家族みんなで「これ、本当に美味しいね」と言い合える時間をへっころ谷のテーブルで作るために、まず席だけ確保しておきましょう。

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